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◆EPISODE.5 許された虐待(PAGE.1)
地風伝説>PAGE.1>PAGE.2>PAGE.3
「いい天気だな…」
思わず深呼吸をするアレン。やはりフェアルの空のほうが好きらしい。
大きな建物の多いラファリエルは、やはりアレンの人の気配を拒絶する人には向かない街なのかもしれない。
「クロ…やけに安心してるな。ここからはお前の母さんに見つかる可能性があるんだぜ?」
「そろそろ病院に行く時間だから、たぶんいないだろう。」
学校にいるときよりも、あきらかに安心して羽を伸ばしてる様子のアレン。ロンティアとゆっくり話せて、なんだかいろいろスッキリしている様子だ。
ドカッ!
誰かにぶつかった。安心しきって気がゆるんでしまっているようだ。
「あ、すみません。」
「いいえ、こちらこそ…」
自棄にごきげんな彼女は、黒いストレートのおかっぱに近い髪型に、紫色の瞳…身長はアレン達よりも頭1、2個分は高く、体形は女性にしてはわりと筋肉質だ。
その女兵士は、アレンが二度見するぐらいに、平然と一人の子供をかついで歩いていた。
「ってオイ!」
「あら〜アレン、お久しぶり…」
その細い片腕で軽々と担ぎ上げられているのはクリスの姿だ。自棄にぐったりしているが、外傷はないようだ。
「オイお前!クリスをどうするつもりだ!?」
「…。」
叫んだのはロンティアの方だった。意外にもアレンは一言も発さず、今だ沈黙している。
「アタシの勝手でしょ。」
「ふざけんな!!」
女の軽い一言に、ロンティアの怒号と拳が飛ぶ。
ザッ!
クリスを持ち上げているにも関わらず、女はロンティアの拳を軽々と交わした。
「んなっ!?」
「甘いわねボウヤ……」
思わず体勢を崩したロンティアに、女の蹴りが迫る。
「甘ぇよ…」
ロンティアを背に立ち、アレンは自らの足の盾で女の蹴りを防御した。
「ふぅん…判断力はまずまずね。でも……」
「くっ!?」
対となったアレンの足に負荷がかかる。彼女の脚力に押されているのだろうか?
「てぁっ!!」
「!?」
アレンは全体重を脚力に任せ攻撃を弾いた。もちろん正当防衛の為だ。
「あら……」
女は関心したような目でアレンを見てから、身構えるのをやめた。
「わりぃなクロ…手間かけさせた。」
「あぁ、全くだ。」
クスッと笑うアレンには、何故か余裕の色が伺えた。クリスが関わってくれば、必ず取り乱し必死になる筈なのに……
「ふぅん、少しはマシな男になったみたいじゃない。アレン…」
女はアレンとロンティアを交互に見てから、再び歩きはじめた。
「オイ、クリスを返せよ!」
ロンティアは叫んだ。しかし次に女の口から発せられた言葉は、意外なものだった。
「言ったでしょ?この子はアタシの好きにするの…国の為に生け捕りにしたわけじゃなくってよ。」
「え…?」
女の言葉に、ロンティアはきょとんと首をかしげた。
確かによく考えれば、その場で殺せばいい筈のエルフを、何故わざわざ眠らせ生け捕りにしたのか…クリスを担いだまま去っていく女を眺めながら、追おうとするロンティアを止めるアレン。その目は、なにかを企んでいるような目だった。
「いいのかよ…?」
「勿論追うさ…彼女と面識があるってことを、隠しながらな。」
「はぁ??」
そう言って裏道へ向かうアレンを、半信半疑と言った顔で追うロンティア。
アレンは…なにかを隠している。ロンティアはそう確信した。この先で打ち明けてくれる…そう信じながら、アレンの後についていくのだった。
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